▼民話語り部養成講座の取材【南陽市】夕鶴の里・語り部の館2013/07/25 11:10 (C) 置賜文化フォーラム
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7月20日(土)に子ども伝統芸能の取材で、南陽市の夕鶴の里の「語り部養成講座」に行ってきました。
置賜地方全般に伝わる民話による昔語り。
なかでも、南陽市は代表的な民話「鶴の恩返し(鶴布山珍蔵寺)」の発祥の地でもあるので、民話語りが盛んに行われているのです。
子ども達が昔ながらの民話を語ることは珍しく思いますが、南陽市には民話が受け継がれており、大人も子どもも親しんでいることがわかります。
置賜の民話については、宝記事でもご紹介しておりますので、併せてご覧ください。
■民話その1 ■民話その2
夕鶴の里 語り部養成講座「公開講座」
日時:平成25年7月30日(土) 午後1:30開演
会場:夕鶴の里 語り部ホール
主催:夕鶴の里、南陽市教育委員会
◆夕鶴の里語り部養成講座◆とは
夕鶴の里では、夕鶴の里自主事業として、「語り部養成講座」を開講しています。
民話会ゆうづるの語り部のみなさんが、心をやさしく包む民話の温かさをぜひ多くの人に感じてもらいたいと、ご指導なさっています。
平成11年から始まり今年で第14回目を迎えます。
講座は6月〜9月のあいだ、全8回行われています。
今年度は小学生から大人まで9名が受講しており、小学生5名、大人4名の参加です。
また、南陽市内の小学校などへ出向いて民話を教える「出前講座」も行っています。
今回取材に伺ったのは、語り部養成講座の第4回目の活動。
これまでの4回の活動を通して、練習の成果を披露する「中間発表会」でした。
小学生5名、大人4名、民話会ゆうづる3名による発表がありました。
語り部養成講座では、全8回の講座のうち、発表会を挟みながら、民話語りを身につけます。
やはり人前で発表することが一番ですので、大勢の前で披露するという、そういった練習も必要となってくるのですね。
こちらでは、主に小学生の語り発表の様子をお伝えいたします。
観客が見守る中、中間発表会は行われました。
中間発表会なので、途中でわからなくなったらテキストを見てもOKです。
「牛蒡と人参と大根」
赤湯小学校6年生の女の子による発表。
牛蒡(ごぼう)と人参と大根がなぜ、今の色なのかよくわかる昔話です。
元々は、人参も大根も牛蒡と同じ茶色だったそうですが・・・。
「おぶさろの化け物」
沖郷小学校1年生の男の子による発表。
お姉さんが、民話語り部を習っているのをみて、自分もやってみたいと一緒に参加したのだそうです。素晴らしいですね。
「白竜湖の琴の音」
宮内小学校3年生の女の子による発表。
南陽市の白竜湖に伝わる昔話。
今でも湖には白い竜が住んでいると伝えられている昔話です。
なぜ白竜湖と呼ばれるようになったのか、今でも霧雨の降る朝には、湖の底から琴の音が聞こえてくるそうですよ。
「クモとハチ」
沖郷小学校4年生の女の子による発表。
弟さんと一緒の参加です。
銭がいっぱい入っている小袋を拾ったクモとハチが最後にどうなったか、言い争いをしていると、そこにアリがやってきて・・・。
欲張りはしてはいけないとよくわかるお話です。
「まんじゅうこわい」
赤湯小学校6年生による発表。
今年で3年目だそうです。
落語の演目にもあるお話です。
司会は、民話会ゆうづるの多勢久美子さんです。
子ども達の発表が終わる毎に、「どうでしたか?」と優しく声をかけて感想をお聞きしたり、「上手だったよ」と褒めていらっしゃる様子が印象的でした。
優しく教えてくださるご指導者の方々がいるからこそ、子ども達も楽しく民話語りをやっていけるのだと思います。
みんな違った民話を語り、語りの口調もスピードもみんなそれぞれ違うので、オンリーワンのそれぞれの語りの良さがありました。
民話は、置賜弁の方言が豊富なので、山形県外の人が聞いたら何と言っているかわからないかもしれないですね。
地元の人でも普段あまり使わないような方言が入っていたりします。
方言が民話の良さだと思うので、聞いていて本当に楽しかったです。
ご指導者の民話会ゆうづるの島貫貞子さんにお話を伺ったところ、
発表する民話の題材は、自分で選んで決めるそうです。
まずは、その民話がどんな内容なのか、しっかり理解することが大事で、頭に入れながら、音読すると上手に語れるようになってくるそうです。
また、今回のような発表の場で、声に出して練習することにより、自分の癖を知ることが出来るので、次回のために改善することも出来ます。
同じ民話でもみんな違うのが良い。
上手に話さなくても、それがその人によっての民話の味だから、オンリーワンなんだ。
と話してくださいました。
語り部養成講座受講生のみなさんと民話会ゆうづるのみなさん
最後に、一番印象に残ったことをひとつ。
夕鶴の里の近くにある珍蔵寺というお寺があるのですが、このお寺は小学校の通学路にあり、学校に行く途中に毎日必ず小学生が通る道です。
子ども達が成長し大人になっても、地元には民話の原点でもある「鶴の恩返し」のお寺があるということを絶対に忘れないで生きて欲しい。
14年目を迎える現在も、毎年必ず子ども達に教えているとおっしゃってくださいました。
子ども達が正しく育っていくのも民話を習っているからなのだと、語ってくださったのも印象的でした。
ご指導者の方々や、子ども達には、その他にもインタビューさせて頂き、沢山お話を伺ってきたので、またご紹介できればと思います。
置賜文化フォーラム編集員文化リスがお送りしました。
○取材日 平成25年7月20日(土)
○取材ご協力 民話会ゆうづる(南陽市)
夕鶴の里 語り部養成講座受講生のみなさん
夕鶴の里・語り部の館(南陽市)